井の中の蛙 ジンベイを知らず

されど、ほにゃららの深さを知る

自分を甘えさせてあげるということ

友人の様子が最近ちょっとおかしい。

半年くらい前はなんてことなかったのに、先日会ってみたら明らかに“落ちて”いる。
「体調は良い」「身体は元気」と言うが、なんだか疲れているような雰囲気がある。

話を聞いていると、今まではしていなかったようなものの捉え方をしている。

「あの人が嫌だ」「○○の仕事が納得いかない」「どう考えてもあの人の言動はおかしい」

彼はかなり柔軟な人だ。そしてバランスが良かった。
自分の意志を確認しながら、相手の意志もなるべく配慮の入れて、折り合いの付け所を見つけるのが上手な人という印象だった。

そんな彼が、ここ最近はさっきのような口ぶりをする。

 

だいぶ参っているようだった。

だから私に連絡を寄こしてきたのだろう。

何をするわけでもないが、お酒を飲んで、美味しいご飯を食べて、何時間も話をして、ほんのちょっとすっきりした顔をして帰っていった。

 

仕事も4年目になり、任されることが増えてきたようだった。

3月に先輩が2人辞め、その仕事の多くが彼に回ってきた。責任のある立場に立たされる案件もあるようだ。プレッシャーいっぱいの仕事を、一手に引き受けようとしている。「自分が(その班で)一番上になったから、誰も頼れない」とこぼしていた。

 

なんだか話を聞いているだけで、ここ数か月、彼が随分ストイックに過ごしている様子がうかがえた。

元気でエネルギッシュな時期にストイックになっていれば、私の何も気にならないのだが、どうやら彼は、毎日の仕事に疲れてしまって、上手くコントロールが出来ずにストイックになっているような印象だった。

 

なぜ人は、疲れてるのに、しんどいのに、つらいのに、休みたいのに、そんな時に真逆の行動をしてしまうのだろう。

私もかなり心当たりがあるのだが、疲れすぎていたり、ストレスが溜まりすぎてしまった時に、なぜかめちゃくちゃ律儀になってしまう。小さな汚れや、小さなミスが気になり、掃除を徹底的にしたり、仕事で細かい誤字脱字までチェックしたりしないと気が済まなくなってしまう。仕事や雑務が増えるので、余計に疲れる。

 

彼もそのような負の連鎖にはまっているような感じがした。

 

こういう時は、どっぷり自分を甘やかしてあげるのが一番だったりする。

そうアドバイスをすると「ここで自分を甘やかしたらどんどん悪い方向へ行く気がする」と拒否感を示す人がいるのだが、そうやって言う人ほど、大抵そうはならない。どんどん悪い方向に行く前に、やっぱりストイックなスイッチが入るのだ。

 

どっぷり甘やかしてあげる。サボる。手を抜く。

そしたら、何かが回復する。窮屈だった心が回復したり、枯渇していたエネルギーが回復したり、とにかく大事な何かが回復する。そうなってから、またいつもみたいにストイックに生きていけば良いのだと思う。

 

今度彼に会った時にまだ疲れたままだったら、「ちょっと試しに自分を甘やかしてみたら」と提案してみようと思う。

ストイックを続けて心も身体も調子を崩してしまったら、元も子もなくなるもの。