あれ?と思った時点で病院予約を選択肢に
精神科やメンタルクリニックにどのような印象を持っているだろうか。
そもそも病院というものに、どのようなイメージを持っているだろうか。
数年前、「ニキビは皮膚科へ」という宣伝文句が流行った。
この宣伝が出回った頃は多くの反響があったと記憶している。
「ニキビくらいで皮膚科に行くの?」
「そんなことで病院に行って良いの?」という感想や、
「ニキビって病院に行って治すものなんだ!」という新たな気付き。
そもそも病院というのは、最後の砦のような感じはある。
家の救急箱でまずは対処する。生活習慣を見直す。病院に行って薬を出してもらう以外の方法で、自分が出来ることをやる。そして、それでもダメなら病院へ行こう、という流れだ。
そう。
「それでもダメなら、病院に行こう」が主流だ。
それはいたって正しい病院の利用の仕方なのだろう。
受診にはお金もかかるし時間もかかる。体力も必要だ。
だから、自分で出来る範囲でやれることはやった方が、患者のためにも良い。
ただここで問題も発生する。
それが、今回のタイトルにもつながる話だ。
自分で出来ることを精一杯やりつつ、我慢に我慢を重ねる人がいる。
比喩表現でなく、本当に、限界まで、死ぬ手前まで頑張ってくれる人がいる。
そして、そんな患者さんを診た後に医師がこう言う。
「どうしてこんなになるまで放っておいたんですか!!!???!?」
この辺りの見極めは、素人では難しいことがある。
同じことがうつ病でも言える。
うつ病は、経過が長ければ長いほど、回復に時間がかかる病気である。
そして、うつ病は、素人が見て「あの人最近様子が変でない…?」と感じる時には、結構症状が進行していることが多い。
つまり、思っている以上にもっともっと前の段階から介入した方が良い場合が多いのだ。
素人が見て「別にまだ大丈夫でしょ」と思うくらいでも、受診してみると投薬やカウンセリングが開始されることは珍しいことではない。
特にうつ病に関しては、早めの介入をすると回復も早いし、後に引きずりにくい。
しんどい状態を我慢する必要はない。
そもそも、そういう人は日ごろから我慢強い人なのだ。
そんな人が『ちょっと辛いな』と思うのは余程のことだと考えた方が良い。
我慢せずに、早めの段階で受診することを選択肢に入れてほしいと思っている。
早めの受診をオススメするのには、もう一つ理由がある。
それは、病院のシステム的なところの話だ。
というのも、初診には予約が必要なところが多いのだ。
ストレス社会で生き抜く私たちは、当然ストレスを抱えて生きている。
そのために、クリニックや精神科は常に患者でいっぱいだ。
もちろん、精神科やクリニックの数が現状に合っていないということは立派な社会問題の1つではあるが、それはここでは議論しない。
とにかく今は、需要と供給のバランスが取れていないというのが現状だ。
そんな中、「もう耐えれない。辛い」と思って、最後の気力を振り絞ってメンタルクリニックに来院したところで「初診の方は予約をお願いします」と言われて帰されるのがオチである。
しかも、その予約が結構先まで埋まっていることが多い。
残念だが、最近ではどこのクリニックもそのような感じである。
初診は予約が必要。飛び込みは受け付けていないところがほとんどである。
そして、まともなクリニックや精神科なら、初診の予約の枠は数か月先まで埋まっていることが珍しくないのだ。
ちなみに、初診が終わった後の次回以降の受診は、飛び込みでも受け付けてくれるところが多い。(←ここがポイント!!!)
最後の最後に、力を振り絞って来院したのに、このような仕打ち。
余計に落ち込むだろうし、これからどうすれば良いのかと途方に暮れるだろう。それくらいギリギリになっている。
このような精神科・クリニックにまつわる状況を知っていれば、
やることはただ一つ。
あれ?なんか辛いな…でもまだ頑張れそうだし、頑張るつもりではいるけど…なんだか辛いな。
そう感じたら、とにかく、まだ少しでも元気があるうちに口コミサイトで病院やクリニックを検索しよう。そして、予約をしてしまおう。
予約が1か月後、2か月後でも仕方ない。
その間、当初の予定通り、頑張りつつ、回復に向けて出来そうなことを取り入れて、受診まで乗り切ってほしい。
その頑張りが功を奏して元気になる場合もあるだろう。
でもオススメは、とりあえず受診してみることだ。(もちろん、必要ないなと思ったら予約をキャンセルしてしまえば良い)
そうしたらクリニックの雰囲気も掴めるし、“頑張り”が適切だったかどうかも医師に判断してもらえる。
そして、もし今後、同じようなことがあっても、初診ではなくなるのですぐに受診が出来るようになる。
精神科やクリニックを、最後の砦にしてはいけない。
エネルギーが底をついてしまっては、病院に行くことさえ億劫になってしまう。
負の連鎖の始まりである。
今後、受診の流れや精神科などの状況が変わってくるかもしれないが、今のところはこれが最善の方法ではないかと思う。